ユニークシェルター:箱舟 における顛末
受肉した中位天使を数名降臨させることにより、
大戦による終末前に彼らが選別した人間のクローンを作成、生存運用させるシェルターは
内包した機能をじわじわとすり減らすように使いながらも、大戦より四百年以上が過ぎた現在において、
その人口減らすことが殆どないまま今日に至るまでほぼ正常稼働している。
しかし、状況は依然として楽観視は出来ない。
まず、クローンといっても、脳に含むデータは齟齬がないように極端に短い生でない限り、
死後更新されている。中には精神が薄弱なものがあり、少しずつではあるが精神が摩耗している様子があった。
また、クローン同士の婚姻ののちに、子を成すものが少なくない。
そしてその子らがさらに子供を産み、増やすこともあるのだ。
その場合、直系なら二等級国民、さらに遠い血筋ならば三等級国民としての立場を与えているが、
本来選別民と少し余剰のある程度でしか水、食料のプラントが準備されておらず、かなり厳しい状況だ。
他所の放棄された、あるいは破壊されたシェルターより部品を取り増築しているものの、
追いついておらず、飢餓や病に倒れるものが少なくなく、またそれがクローンに選別されたものの心をひどく病ませるので
近々シェルターの崩壊が近いのではないか、と受肉した中位天使を含む上層部は懸念していた。
しかしそれは、ある日、No.315『ベテルギウス』が他世界より持ち込んだ家畜により大きな転換を迎える。
元々『外的要因処理班』として、シェルター外の探索、および危険要因の処理排除の人員として役立っていた彼ではあるが
(※彼はすさまじくタフであり、何故か世代を重ねても死による精神摩耗の気配がない)
地下シェルターでの調査中、内部防衛機構からの攻撃を受け落下。
8日間の行方不明期間ののちに同シェルター内より帰還し、
数匹の有機生命体とバッテリー切れの小型浄水装置を持ちこんだのだ。
まず、持ち込まれた有機生命体はかつての『ウサギ』と『ニワトリ』と酷似しており、
単体生殖が可能であり、水中でも生きていけることができる生命力と、速い速度で増える特徴を持つ。
そして、持ち込まれた浄水装置(本人曰く、オーちゃんという呼称がある)は高い性能をもっており、
バッテリーや細かい問題を修繕すれば、すぐさま利用できるというものであった。
そしてさらに、彼が家畜の餌として持ち込んだ植物も荒れた土壌にも適応できることを確認。
鮮やかな色の植物は薬用としても効果が高く、医薬品への利用のため研究が急がれる。
この奇跡のような成果に、すぐさま箱舟上層部が対応。
有機生命体のDNAを解析し、増殖させることでそこから安全な食料として新たな食料プラントを大々的に増設。
また、地下シェルターの残骸群からオーちゃんを基盤として大型の浄水装置を完成させた。
これにより生存可能人数が大幅に増加。
二等級国民まではその生存を保証でき、さらに活動区域を増加させることで
いずれは三等級国民の生存さえも可能になるだろう。
以上の英雄的所業をもって、ベテルギウスはこの箱舟において多大な発言権を得ることになった。
そんな彼が神ではなく、己という人を信じる【精神教】という恐れ多くも高慢な教えを説いており、
以前は聞き流されていたそれらが人々の心に響きだしているのが目下の問題となっていくと箱舟上層部は危惧している。
なぜなら、箱舟に住まう人々は神によってえらばれたものであると自覚するとともに、
その神の偉業に感謝し、神を信仰しなくてはならないのだから。
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追記。
ベテルギウスが向かった世界を『ジーランティス』と名のつく世界と解析。
かの地は文化らしい文化は少ない代わりに『つながりやすく』『戻りやすい』という特異性を持つ。
さらなる調査を推し進めるだけの価値はあるだろう。
-----
「へえ、ジーランティスね。面白そうな場所だねえ~、なんたってあらゆる存在が無力化されるっていう点。
さすがに俺らも世界の根源にかかわるレベルの干渉には影響でっしなあ」
「え~~なに?生産お前行くん???自殺願望者??」
「ちゃうわい。この間【星の開拓】に出した欠陥品個体があんまり振るわなかったからさ。
次の派遣先としてここ面白そ~~って話」
「――天使が天使たるゆえに神を信仰できないなら、
天使から羽を取り上げてしまえばあるいは、ってな」
→Next to シマナガサレ1st……
大戦による終末前に彼らが選別した人間のクローンを作成、生存運用させるシェルターは
内包した機能をじわじわとすり減らすように使いながらも、大戦より四百年以上が過ぎた現在において、
その人口減らすことが殆どないまま今日に至るまでほぼ正常稼働している。
しかし、状況は依然として楽観視は出来ない。
まず、クローンといっても、脳に含むデータは齟齬がないように極端に短い生でない限り、
死後更新されている。中には精神が薄弱なものがあり、少しずつではあるが精神が摩耗している様子があった。
また、クローン同士の婚姻ののちに、子を成すものが少なくない。
そしてその子らがさらに子供を産み、増やすこともあるのだ。
その場合、直系なら二等級国民、さらに遠い血筋ならば三等級国民としての立場を与えているが、
本来選別民と少し余剰のある程度でしか水、食料のプラントが準備されておらず、かなり厳しい状況だ。
他所の放棄された、あるいは破壊されたシェルターより部品を取り増築しているものの、
追いついておらず、飢餓や病に倒れるものが少なくなく、またそれがクローンに選別されたものの心をひどく病ませるので
近々シェルターの崩壊が近いのではないか、と受肉した中位天使を含む上層部は懸念していた。
しかしそれは、ある日、No.315『ベテルギウス』が他世界より持ち込んだ家畜により大きな転換を迎える。
元々『外的要因処理班』として、シェルター外の探索、および危険要因の処理排除の人員として役立っていた彼ではあるが
(※彼はすさまじくタフであり、何故か世代を重ねても死による精神摩耗の気配がない)
地下シェルターでの調査中、内部防衛機構からの攻撃を受け落下。
8日間の行方不明期間ののちに同シェルター内より帰還し、
数匹の有機生命体とバッテリー切れの小型浄水装置を持ちこんだのだ。
まず、持ち込まれた有機生命体はかつての『ウサギ』と『ニワトリ』と酷似しており、
単体生殖が可能であり、水中でも生きていけることができる生命力と、速い速度で増える特徴を持つ。
そして、持ち込まれた浄水装置(本人曰く、オーちゃんという呼称がある)は高い性能をもっており、
バッテリーや細かい問題を修繕すれば、すぐさま利用できるというものであった。
そしてさらに、彼が家畜の餌として持ち込んだ植物も荒れた土壌にも適応できることを確認。
鮮やかな色の植物は薬用としても効果が高く、医薬品への利用のため研究が急がれる。
この奇跡のような成果に、すぐさま箱舟上層部が対応。
有機生命体のDNAを解析し、増殖させることでそこから安全な食料として新たな食料プラントを大々的に増設。
また、地下シェルターの残骸群からオーちゃんを基盤として大型の浄水装置を完成させた。
これにより生存可能人数が大幅に増加。
二等級国民まではその生存を保証でき、さらに活動区域を増加させることで
いずれは三等級国民の生存さえも可能になるだろう。
以上の英雄的所業をもって、ベテルギウスはこの箱舟において多大な発言権を得ることになった。
そんな彼が神ではなく、己という人を信じる【精神教】という恐れ多くも高慢な教えを説いており、
以前は聞き流されていたそれらが人々の心に響きだしているのが目下の問題となっていくと箱舟上層部は危惧している。
なぜなら、箱舟に住まう人々は神によってえらばれたものであると自覚するとともに、
その神の偉業に感謝し、神を信仰しなくてはならないのだから。
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追記。
ベテルギウスが向かった世界を『ジーランティス』と名のつく世界と解析。
かの地は文化らしい文化は少ない代わりに『つながりやすく』『戻りやすい』という特異性を持つ。
さらなる調査を推し進めるだけの価値はあるだろう。
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「へえ、ジーランティスね。面白そうな場所だねえ~、なんたってあらゆる存在が無力化されるっていう点。
さすがに俺らも世界の根源にかかわるレベルの干渉には影響でっしなあ」
「え~~なに?生産お前行くん???自殺願望者??」
「ちゃうわい。この間【星の開拓】に出した欠陥品個体があんまり振るわなかったからさ。
次の派遣先としてここ面白そ~~って話」
「――天使が天使たるゆえに神を信仰できないなら、
天使から羽を取り上げてしまえばあるいは、ってな」
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