Eno.811 学者の日記

拝啓 親愛なる友へ

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 勇者パーティの皆へ

 サポロスにも雪解けの季節が来た。皆、元気にしているだろうか。

 最寄りの拠点までとはいえ、こうして手紙が送れるようになったので筆を取った次第だ。

 一緒に冒険した頃のことは、今も鮮明に思い出せる。

 懐かしく思う反面、寂しくもあるが、こちらにもやるべき仕事がある。お互い頑張ろう。



 エゾデスの情勢もまた、季節と同様雪解けを迎えようとしている。

 やはり教皇の一声、それから魔王と戦士の結婚が大きな転機だったな。

 その後、側近はじめ、旧魔王軍の友好的な交渉により、和解は少しづつだが進んでいる。

 また、ローガー達の多大な貢献により、戦場となった地の復興も順調だ。

 次に戻って来た時には、新大陸と同じくらい驚いてもらうのが、

 こちらに残った僕らの使命だ。期待していてくれ。



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 アンスティフォリアへ

 サポロスの自然は、戦争の終結と復興により回復している。

 とはいえ窓から見られる景色は相変わらずだ。

 シマエナガの羽根がそろそろ生え変わり、桜も咲く季節が近い。

 聞くところによると、フラーノのアンスティフォリアも順調に育っているらしい。

 夏に君の故郷を訪れるなら、見渡す限り一面の花畑が見られるだろう。



 それからデスマ規制法だけど、すまない。少々時間が掛かりそうだ。

 一部の貴族たちの頭が固く、なかなか首を縦に振ろうとしない。

 正直魔王の側近に頼んで洗脳して貰おうかと思う日もある。

 しかし魔術師ぎじゅつやの人権を守るため、

 何年掛かっても施行してみせる。待っていてくれ。


 
 勇者一行にあらゆる愛を込めて

 ピート・ロウ