【通信記録 ― 終】

「メーデー、メーデー、メーデー。こちらフリン。
通信状況が戻った、どうぞ。」

「通信が戻った……フリン!通信が切れて十日は経ってるぞ?!
どこまで行ってたんだ、お前!」

「……少し"不可抗力なバカンス"を楽しんでいたものでね」

「はあ、お前のそういう暢気なところは見習うべきだな……
で、仕事中だったってこと、わかってるんだろうな?」

「もちろん。その証拠に、キミの"仲間"の依頼はきっちりとこなしておいたよ」

「危険区域"ウサギ穴地帯"となった住居群。そこに住んでいた"仲間"が
何より大切にしていた――"形見の指輪を盗み出す依頼"をね」
フリンの小指には、大ぶりな石を抱えた指輪が輝いている。

「依頼の期限は過ぎてるが、まあ……許してやるよ。報酬はそのままで酒もオマケしてやる。
ただし、報酬減額ナシと酒は"お前の転移先の話"が条件だ。
お前なら出来るよな?」

「もちろん、キミの悪友であるからには、きっちりこなすよ。
ただ――キミの所に付くのはもう少し時間がかかりそうだ。
オレは今、一緒の場所にいた子たちと一緒にいて……一緒に船に乗って、帰れるようになる場所まで向かってる。
戻るまで待ってくれるかい?」

「行きと同じようにウサギ穴で帰るんじゃないのか。
まあ理由もあるだろうし問題はない。その分、しっかり話を聞かせてもらうぜ?
それで、なんだ……」

「……よくやった、フリン。」

「…どういたしまして。
オレも早くキミに話したいよ。忘れてしまう前にね」
――
船は地平線を切り裂いて進んでいく。
オレは、彼ら、彼女らの力になれただろうか?そうやって、島の出来事に思いを馳せる。
影ながらでも"それら"の記憶の一部になれることを祈りながら。
嗚呼、
夜明けは、近い。