Eno.574 フリン・T・アミーゴの日記

【通信記録 ― 終】

「メーデー、メーデー、メーデー。こちらフリン。
通信状況が戻った、どうぞ。」


「通信が戻った……フリン!通信が切れて十日は経ってるぞ?!
どこまで行ってたんだ、お前!」


「……少し"不可抗力なバカンス"を楽しんでいたものでね」


「はあ、お前のそういう暢気なところは見習うべきだな……
で、仕事中だったってこと、わかってるんだろうな?」


「もちろん。その証拠に、キミの"仲間"の依頼はきっちりとこなしておいたよ」


「危険区域"ウサギ穴地帯"となった住居群。そこに住んでいた"仲間"が
何より大切にしていた――"形見の指輪を盗み出す依頼"をね」



フリンの小指には、大ぶりな石を抱えた指輪が輝いている。

「依頼の期限は過ぎてるが、まあ……許してやるよ。報酬はそのままで酒もオマケしてやる。
ただし、報酬減額ナシと酒は"お前の転移先の話"が条件だ。
お前なら出来るよな?」


「もちろん、キミヴォルフの悪友であるからには、きっちりこなすよ。
ただ――キミの所に付くのはもう少し時間がかかりそうだ。
オレは今、一緒の場所にいた子たちと一緒にいて……一緒に船に乗って、帰れるようになる場所まで向かってる。
戻るまで待ってくれるかい?」


「行きと同じようにウサギ穴で帰るんじゃないのか。
まあ理由もあるだろうし問題はない。その分、しっかり話を聞かせてもらうぜ?
それで、なんだ……」


……よくやった、フリン。


「…どういたしまして。
オレも早くキミに話したいよ。忘れてしまう前にね」



――
船は地平線を切り裂いて進んでいく。
オレは、彼ら、彼女らの力になれただろうか?そうやって、島の出来事に思いを馳せる。
影ながらでも"それら"の記憶の一部になれることを祈りながら。


嗚呼、

夜明けは、近い。