Eno.730 蘢 龘子の日記

日記:フラフィウス⑩:カフェテリア『シマナガサレ』

「――んぅ、むにゃ……」



人工的な光りに照らされて目を覚ます。

きょろきょろと辺りを見回すと。ちらほら、ヒトとヒト以外の姿。
お菓子やスイーツの甘い香りが鼻をくすぐって、眠気がだんだんと晴れていきます。

改めて眼鏡を掛けなおして
やはり見れるのは――いつもの見慣れた光景、テラス席から海が見えるお気に入りの場所。


「もどってきたんですね――」



あのシマに流れ着く前
わたしがさいご、うつらうつらしていたカフェテリア。

闘技の世界フラウィウスでのいきつけのお店に、わたしは戻っていました。


……ここでみんなとあの不思議なシマのお話をしてたんだったっけ。


「……どっちかといえば、わたしが引き寄せちゃったのかな?」



全くのランダムということも――……もしかしたら、あるのかな?
とはいえ、偶然かもしれなくても……わたしには、そういう『ご縁』をかんじちゃいました。


「ん――やっぱり」
「……ずっとここにあったんですね?」



ご縁と言えば――失われて、うつろだった感覚はもう完全に戻っています。
テーブルを『視』ればわたしの『翆燐の御守り』が。ちゃんとそこにありました。
わたしの大切な宝物が、そこに。

ぎゅっ、と心の底から安心して。握りしめて。

「……あっ!」



ハッとして辺りを探します――ソリがどこにもない。
わたしが、あの世界で持ってきたものは――


「!!」
「……ッ、あったぁ!!よかったぁ……」



ポーチの中に色々な大切なものが詰まっていました。

あのシマでは見た目程度しか入らなかったけれど、その機能無限の容量も完全に取り戻しているようです。
ごそごそと探って、皆から貰ったものを確かめるように机に並べていきます。

「えへへ――」



思い出しながら、ゆっくりと一つずつ。

わたしの姿をかたどったぬいぐるみ。みさねぇといっくんから貰ったもの。
奇麗な指輪。いっくんから貰ったもの。
ニコニコマークが刻まれたネックレス。にしみさんから貰ったみんなでお揃いのもの。

わたしの新しい宝物がちゃんとある。


「……そして、これ」



ことり、手ごろな奇麗な布材に包んで入れていたものを机に広げて。

青色の石ころ。シーグラスと呼ばれる海の宝石。
記録を開けてみれば、あの海ではすこしばかり特別な意味を持つモノでした。
海の魔力の結晶とも呼ばれているそうです。

「海に散らばった想い資源を集め、『星の記憶』を織りなして」


「想いは海の結晶シーグラスとして形を成し、そこにかつて海で生きたヒトビトの記憶が宿る」



そういう術式なのかな?なんて。

「わたしは、すっごくロマンチックな気がします」




この海に還った沢山の想い。
わたしたちの手で掬って、知ることができたような気がして。そんな気持ちになりました。

……遊び心あふれるあなたは、とっても素敵なヒトだったんですね。

「――不思議な石にも、海の結晶にも想いが籠められるなら」



ごめんなさいをしつつ、箱の術式記憶を不思議な石に吸い取って貰って――
これが正しい使い方なのか、解釈が合っているかは分からないけれども……

海の結晶に、この一週間で過ごした思い出。
うみから貰った沢山の恵みを……帰る前にここに沢山詰め込んできました。


「……みんなに話したいな」



指先で、ころりと『海の結晶』シーグラスをころがして呟きます。
ころころ、沢山の思い出が光に照らされて、キラキラと輝いているかのよう。

おみやげとなるものは荷物が一杯で持ってこれなかったけど――
探検と冒険の日々。思い出話をみんなに話したい気持ちでいっぱいでした。

あのシマで出会ったヒト達のことを。
新しくできた友達のことを。大変だったけど……嬉しくて、『たのしい』思い出の数々を。

……また、あえるかな?会いたいな。


「――みんな、またねっ」



縁がまた巡るころ――みんなとまた逢えますように。

ちょっとした、おまじない。






―――Bo5-S1.ENo84 & シマナガサレv3.0 ENo730 
―――てくてくどらごん  蘢 龘子とうこ