その後の事
隠形の札は用意し直したお陰で、幸い海岸に到着して降りても騒ぎにはならなかった。
むしろ海水の入ったドラム缶と樽を運ぶのが大変だったな。水って重いんだった。
それでもまぁ、連絡を入れて取って返して、何とか仕上げた身内用の報告書と一緒に持って帰った資料と石碑、海水、シーグラス何かを見せたら……。
頭を抱えられた。
そりゃそうか。
一兄には「お前のノリと勢いは大体良い事を招くとはいえ、加減をだな……」と言われ。
二兄には「数千人単位の精霊が来るとかそれはもう都市開発って言うんだよ!」と笑われ。
親父には「お前、霊脈のフリーパスはどれだけの相手と調整をしなければいけないと思ってるんだ」と拳骨をもらった。
でも仕方ねぇじゃん!? 第一霊脈に繋がる祭事場守るのにどれだけ戦力かかってると思ってんだよ!?
そこを助けてくれるんだから感謝しかねぇじゃんか!?
……いや、悪い。諸々の折衷や話し合いが厄介なのは分かってた。
でもさ。
でもそれは「人間に出来る事」の範疇だ。
助けを求めるなら、人間に出来る事はやり切ってから、だろ?
って言うと、それ以上は言われなかったが。
もちろんその分、俺もこれでもかと振り回されることになった。
まぁそれは覚悟の上だったからいいんだ。思ってたのの倍ぐらい働いたような気もするが。
けどそのかいあって、どうにか拠点候補地を確保するに至った。
いや俺も驚いてるぞ? 驚いてるが、それより疲れが来てるっつーか……。
なお俺はしばらくここで待機である。マーカーは俺が持ってるからな。
一般には秘された、霊脈に繋がる土地。
それのいくつかの内、神秘側の人間でも何とかなる場所を選んで戦力を集めて、周囲のモンスターを一掃。結界を張って近づけないようにすると同時に強めに存在を隠す。
流石に俺らの事を把握してる、政府の上の方には伝えなきゃいけないけどな。
そうそう。
その上の方から、どうやら異世界案件でこそこそしてるのは政府からの依頼だって話が回って来た。
個人でなくて良かったーっていうのと、じゃあもうちょっと相談しろやっていうのを同時に思ったがともかく。問題は、その依頼を出した相手がだな……その、知り合いなんだ。
それも、ぶっちぎりで今会いたくないというか、会う訳にはいかない相手。
……もし俺があのまま素直に異世界人の様子を見に行ってたら、知り合い……雑賀家と利能世家に会ってたって事になるな?
あっっっぶねぇ!!!
大体の関係者がその異常を端的に表現する時、「ある日突然電子レンジが錬金釜的便利道具になった」という。
まぁ実際そうなんだけどな。世界中に広がった神秘は錬金術だ。電子レンジがその器になったというだけ。
何故電子レンジかというと、電子レンジの事を「魔法の箱」と認識している人間が多かったから。つまり、集合意識の焦点があったからだ。
まぁ一般にはそこまで分からないし、分かってる神秘側は全力でその事実を隠蔽していたから、まだバレてないと思うんだが。
それでも、時間の問題だろうとは思っている。驚き、混乱し、それでも立ち止まらず、望む景色の為に歩き続けている人間を舐めてはいけない。
最初の混乱、変化があった瞬間に使われていた電子レンジ。それで調理されていた筈のものは、大半がモンスターへと変わった。
そこから逃げ出し、暴れ、潜み。その後も原因を知らずに電子レンジを使ってモンスターが発生し。その間に、知能の高い奴が発生したんだろう。或いは何らかの「閃き」でもあったか。
世界中でほぼ同時に、家電量販店へのモンスターによる襲撃が発生。電子レンジが奪い去られた。たぶん今も、モンスターがモンスターを増やす事に使われている。
その後も、ネームド、と呼ばれる、大規模に戦力を集めてなお「討伐失敗」した強力な個体が出現。
実質滅び、住民がモンスターにとってかわられた国が出てきたのもこの頃か。
後は空間が歪み、拡張され、見た目にそぐわない広さと内部構造を持った上で、モンスターと素材が手に入る迷宮……空間異常と呼ばれる、ゲーム的なダンジョンも出現している。
まぁ居住区と呼ばれている場所は、転移という技術をものにした人間、巨大建造物を作る手段を見つけた人間、モンスターを通さない力場(結界)を作る手段を見つけた人間によって確保されたと言ってもいい。
その他、6人ほど現在の安定に大きく寄与した人間が、世界に広く名前を知られている。
……会う訳にはいかない知り合いってのは、その1人だ。
そして現在、その、錬金術の器となった電子レンジが神秘の力を発揮するには、あの特徴的な音が必要だという事が分かり、音が鳴らない電子レンジが流通するようになった。
神秘の力を使える電子レンジを使う為には資格が必要になった。
ただ電子レンジを錬金術の器として使うには、集合意識にカウントされる必要がある。
条件は……こっちでは分かっていないが、数年この世界で暮らせばいいんじゃないだろうか、と推測されている。
しかし何で電子レンジを使っての、集合意識の干渉でゲーム風に歪んだ錬金術の呼称が「レンチン術」になったんだ?
むしろ海水の入ったドラム缶と樽を運ぶのが大変だったな。水って重いんだった。
それでもまぁ、連絡を入れて取って返して、何とか仕上げた身内用の報告書と一緒に持って帰った資料と石碑、海水、シーグラス何かを見せたら……。
頭を抱えられた。
そりゃそうか。
一兄には「お前のノリと勢いは大体良い事を招くとはいえ、加減をだな……」と言われ。
二兄には「数千人単位の精霊が来るとかそれはもう都市開発って言うんだよ!」と笑われ。
親父には「お前、霊脈のフリーパスはどれだけの相手と調整をしなければいけないと思ってるんだ」と拳骨をもらった。
でも仕方ねぇじゃん!? 第一霊脈に繋がる祭事場守るのにどれだけ戦力かかってると思ってんだよ!?
そこを助けてくれるんだから感謝しかねぇじゃんか!?
……いや、悪い。諸々の折衷や話し合いが厄介なのは分かってた。
でもさ。
でもそれは「人間に出来る事」の範疇だ。
助けを求めるなら、人間に出来る事はやり切ってから、だろ?
って言うと、それ以上は言われなかったが。
もちろんその分、俺もこれでもかと振り回されることになった。
まぁそれは覚悟の上だったからいいんだ。思ってたのの倍ぐらい働いたような気もするが。
けどそのかいあって、どうにか拠点候補地を確保するに至った。
いや俺も驚いてるぞ? 驚いてるが、それより疲れが来てるっつーか……。
なお俺はしばらくここで待機である。マーカーは俺が持ってるからな。
一般には秘された、霊脈に繋がる土地。
それのいくつかの内、神秘側の人間でも何とかなる場所を選んで戦力を集めて、周囲のモンスターを一掃。結界を張って近づけないようにすると同時に強めに存在を隠す。
流石に俺らの事を把握してる、政府の上の方には伝えなきゃいけないけどな。
そうそう。
その上の方から、どうやら異世界案件でこそこそしてるのは政府からの依頼だって話が回って来た。
個人でなくて良かったーっていうのと、じゃあもうちょっと相談しろやっていうのを同時に思ったがともかく。問題は、その依頼を出した相手がだな……その、知り合いなんだ。
それも、ぶっちぎりで今会いたくないというか、会う訳にはいかない相手。
……もし俺があのまま素直に異世界人の様子を見に行ってたら、知り合い……雑賀家と利能世家に会ってたって事になるな?
あっっっぶねぇ!!!
世界に起こった異常について
まぁ実際そうなんだけどな。世界中に広がった神秘は錬金術だ。電子レンジがその器になったというだけ。
何故電子レンジかというと、電子レンジの事を「魔法の箱」と認識している人間が多かったから。つまり、集合意識の焦点があったからだ。
まぁ一般にはそこまで分からないし、分かってる神秘側は全力でその事実を隠蔽していたから、まだバレてないと思うんだが。
それでも、時間の問題だろうとは思っている。驚き、混乱し、それでも立ち止まらず、望む景色の為に歩き続けている人間を舐めてはいけない。
最初の混乱、変化があった瞬間に使われていた電子レンジ。それで調理されていた筈のものは、大半がモンスターへと変わった。
そこから逃げ出し、暴れ、潜み。その後も原因を知らずに電子レンジを使ってモンスターが発生し。その間に、知能の高い奴が発生したんだろう。或いは何らかの「閃き」でもあったか。
世界中でほぼ同時に、家電量販店へのモンスターによる襲撃が発生。電子レンジが奪い去られた。たぶん今も、モンスターがモンスターを増やす事に使われている。
その後も、ネームド、と呼ばれる、大規模に戦力を集めてなお「討伐失敗」した強力な個体が出現。
実質滅び、住民がモンスターにとってかわられた国が出てきたのもこの頃か。
後は空間が歪み、拡張され、見た目にそぐわない広さと内部構造を持った上で、モンスターと素材が手に入る迷宮……空間異常と呼ばれる、ゲーム的なダンジョンも出現している。
まぁ居住区と呼ばれている場所は、転移という技術をものにした人間、巨大建造物を作る手段を見つけた人間、モンスターを通さない力場(結界)を作る手段を見つけた人間によって確保されたと言ってもいい。
その他、6人ほど現在の安定に大きく寄与した人間が、世界に広く名前を知られている。
……会う訳にはいかない知り合いってのは、その1人だ。
そして現在、その、錬金術の器となった電子レンジが神秘の力を発揮するには、あの特徴的な音が必要だという事が分かり、音が鳴らない電子レンジが流通するようになった。
神秘の力を使える電子レンジを使う為には資格が必要になった。
ただ電子レンジを錬金術の器として使うには、集合意識にカウントされる必要がある。
条件は……こっちでは分かっていないが、数年この世界で暮らせばいいんじゃないだろうか、と推測されている。
しかし何で電子レンジを使っての、集合意識の干渉でゲーム風に歪んだ錬金術の呼称が「レンチン術」になったんだ?