Eno.1014 漢升の日記

エピローグ

「ただいま戻ったでござる~」



──エティドルパ地下帝国。アッティラ族の最も古く、最も大きく、最も権威のあるネスト。そこに荷車を曳いた大雄アリが戻ってくる。多くの宝を乗せて。

「遅い!どこで道草を食っていたの!」


甲高い声で罵声が飛ぶ。待っていたのは3人の将軍クイーンだった。

「ひ、ひぃ~!三賢者トライマグス!お、お慈悲を~!」


「まぁまぁ、リンド姉様、そのくらいにしておきましょう?」


「そうそう。見て姉様達、カンショウが持って帰ってきたもの。色々あって面白そうよ!」


「ヴェール、ヒルデ……はぁ、仕方がないわね」



「面目次第もござらぬ……波に攫われて異世界へと飛ばされ、一週間とちょっとのサバイバル生活を経て帰還した次第でござる」



「ふふふっ、サバイバルですって!どんなことをしてきたの?」


「聞かせなさいカンショウ、一から十まで、洗いざらい!」



「う、うむ。そうでござる、お茶菓子もあるし……」


「お茶も淹れられるようになったでござるよ。長話のお供には丁度いいでござる」


「カンショウ、貴方まさか……」


「炎の克服、その端緒を得たのでござるよ」



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「なるほどね、面白い話だったわ。……カンショウ」


「は、はい……なんでござろうか、リンド様」


「貴方、これから火係ね」


「おファッ!?」


「だってそうでしょう?私達の歴史上初めて、曲がりなりにも“炎と付き合える”ようになったんだもの。逃がすわけないじゃない」


「エエーッ!あの、外交とか偵察とか」


「そんなの他に回すわよ」


「貴方の考えも聞かせてもらったもの。嫌なら頑張ってその仮説に従って、後継者を育てなさい?」


「我々が、黎明の炎を手にするために……でござるか」





「それなら、頑張るとしよう──」


視線を向ける。そこには、“司書”から貰った炎。熱もなく、燃え移りもせず、しかし確かにそこにあるもの。

「──我らが真に黎明を迎えるために。」