エピローグ

「ただいま戻ったでござる~」
──エティドルパ地下帝国。アッティラ族の最も古く、最も大きく、最も権威のある巣。そこに荷車を曳いた大雄アリが戻ってくる。多くの宝を乗せて。
「遅い!どこで道草を食っていたの!」
甲高い声で罵声が飛ぶ。待っていたのは3人の将軍だった。

「ひ、ひぃ~!三賢者!お、お慈悲を~!」
「まぁまぁ、リンド姉様、そのくらいにしておきましょう?」
「そうそう。見て姉様達、カンショウが持って帰ってきたもの。色々あって面白そうよ!」
「ヴェール、ヒルデ……はぁ、仕方がないわね」

「面目次第もござらぬ……波に攫われて異世界へと飛ばされ、一週間とちょっとのサバイバル生活を経て帰還した次第でござる」
「ふふふっ、サバイバルですって!どんなことをしてきたの?」
「聞かせなさいカンショウ、一から十まで、洗いざらい!」

「う、うむ。そうでござる、お茶菓子もあるし……」

「お茶も淹れられるようになったでござるよ。長話のお供には丁度いいでござる」
「カンショウ、貴方まさか……」

「炎の克服、その端緒を得たのでござるよ」
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「なるほどね、面白い話だったわ。……カンショウ」

「は、はい……なんでござろうか、リンド様」
「貴方、これから火係ね」

「おファッ!?」
「だってそうでしょう?私達の歴史上初めて、曲がりなりにも“炎と付き合える”ようになったんだもの。逃がすわけないじゃない」

「エエーッ!あの、外交とか偵察とか」
「そんなの他に回すわよ」
「貴方の考えも聞かせてもらったもの。嫌なら頑張ってその仮説に従って、後継者を育てなさい?」

「我々が、黎明の炎を手にするために……でござるか」

「それなら、頑張るとしよう──」
視線を向ける。そこには、“司書”から貰った炎。熱もなく、燃え移りもせず、しかし確かにそこにあるもの。
「──我らが真に黎明を迎えるために。」