Eno.540 オオトリ アサヒの日記

その後

「あれ、アサヒさん、しばらくお留守でしたか?」
「おう、久しぶり。ばーさんとこ帰ってきたんだって?」
「はい、ちょっと前に色々あって」

このど田舎だ、若者の顔なんて大体覚えている。彼女は近所(といってもかなり離れている)のばーさんちに最近帰ってきた孫娘だ。
ちょっと前まで町の方で一人暮らしをしていたはず。
それならちょっと聞いてみるか…

「なあ「あの…」」
被った。
「あ、ごめんなさい。先にどうぞ」
「ああ、ちょっと聞きたかったんだ。"アヒルバトル"って聞いたことないか?」
「…知って、ますよ?この辺りではまだ流行ってないけど、もうかなりの認知度のバトルホビー?らしいんです」

やっぱり流行ってるのか…
「あの…」
「あ、すまん、何だった?」
「ごめんなさい、その、間違ってなければ、そのアヒルってどこで手に入れました?」

お守りソレイユ・ルヴァンのことか?

「…最近、どこかに、流されたりしてないですか」

そして彼女がそっと差し出した手の上に乗っていたのは、最近見たバトラー達が持ってたのによく似たアヒルだった。

「ちょっと長くなりそうなので。よかったらウチおばあちゃんちに寄ってもらって」
「そうさせてもらう」

そして聞いたのは彼女も少し前に「ナガサレた」ということ、そこにも幾人かのアヒルバトラーがいたということ。
但しほんのちょっと、世界がずれている可能性だった。

「だからもしかすると、一緒に居た人に会うのは難しいかもしれない…ということか」

手の中のお守りを作った相手を思い出す。
島にいた連中、帰りの船での約束。

大変だ、やる事が多い。

諦めることは出来ない。
とりあえずアイツ倒しに行って、その後彼に認めてもらって、出来るならあの虹色の大会にでなければならない。

それでもう一度、辻プリンアラモード仕掛けるんだ。

一度でも縁ができたなら多分行ける。
オレはしつこいんだ。

失せ物探しの社に、朝日が輝いている。