その後
「え!?!?
本当に主のせいじゃないんですか?!?!」
「声が大きいよレナード。
うーん、さすがに無人島に転移させる魔法は仕掛けてないな。」
「“無人島に転移させる”魔法は仕掛けていないけど、
“転移させる”魔法は仕掛けているんですね?」
「……」
「仕掛けたんですね……」
「いや、仕掛けたのはあの位置ではなかったんだよ。」
「やっぱりどこかに仕掛けてる!!」
「おかしいな……
純血の吸血鬼たる僕の魔法が、暴発なんてするはずないんだけど。」
「すごい自信。
失敗したところ、見たことはないけど」
「だろ? となると外部からの影響を受けたとか……
でも、天使から干渉を受けた様子はなかったな。」
「天使はこういう嫌がらせはしてきませんからね。」
「“星の記憶”……“不思議な石”は持って帰ってないんだね?」
「?
ええ、さっき見せたシーグラスだけですね。」
「うーん。あったら調べられたかもしれないんだけど。」
「例えば……“海開き”のタイミングで、“星の記憶”がレナードを呼んだ。」
「“黒い森”の魔力と“満月”の魔力に後押しされて、
レナードが引きずり込まれてしまったのかも。」
「……なんだか悔しそうですね?」
「そりゃあね。
タイミングが重なったとはいえ、君をこちらの世界に引き止める力が
“海”の引力に負けたということだから。」
「手抜きの吸血鬼の魔法くらいなら、たやすく打ち破れる“海”の引力か……
調べがいがあるじゃないか。」
(まずい、本気で興味がある時の顔だ!!
ということは、これから根掘り葉掘り話を聞かれて、資料もかき集めさせられる!!)
「これからの自由時間が楽しくなっちゃうねぇ、レナード?」
「さようなら!! 俺の自由時間!!」
「衣装を補修するのに資金が必要なんだろ?
報酬は弾むよ~。」
「絶対に逃がさない構えだ!!!」
「でも、ラルフ様が本気で調べてくれるのなら
リリルカ達に再会できる日は遠くない……か。」
「任せてよ。
“海”で作られたシーグラスが手元にあるなら、
“海”の座標はすぐに調べられるから。」
「あとは、転移したタイミングで潮が満ちていないか……だね。」
「そこは確実にお願いします。
もう漂流したくないです……」
「安心して! 楽しい日帰り旅行にするから。」
「大丈夫かな……。」
「おみやげは“星の記憶”と“未知の箱”で。」
「日帰りで集められるはずないだろ!?」
「よっぽど苦労したんだねェ……」