サイコーなあたしの後日談

「んー、やっぱこのネイルの新色いいなー」
駅の本屋で、手に取ったネイル雑誌をぱらぱらとめくる。
キロさんにはこの濃い赤で金ラメ入れてー、ツッツーにはこっちの薄藤色をグラデーション。
あもりんには水滴モチーフのストーンでデコっちゃおうかな。
メイドさんは料理に邪魔にならないよーに、シンプルだけど、キロさんと同じ感じで水色に銀ライン。
ねりぽよにはちょっと早いかもだから、ゆめかわシールネイルにしよっかな。
めじぇたんには塗れないから、デコった飾りをつけてあげよ。
そんな思いにふけりつつ、雑誌の購入を決めてよし、と一つ頷いた。
島から戻ったあたしは、変わらず花の女子高生をやっていた。
ってーもなんか、本家のほーでどたばたした出来事があったらしくて。
詳しくは分からないけど、あたしに戻って来るよーに、なんて話が出たらしい。
受験があるから無理でーす とは一旦断ったんだけど。
でも、大学行って、もーちょい都会の生活を満喫して。
それからなら、戻っても良いかなーなんて考えた。
だって、あたしのおうちは、神来る社。
他所の世界のカミサマたちが、遊びに来る事の出来る、特殊な場所だもん。
もしかしたら、何時かみんなに、会えるチャンスがまた来るかもじゃん?

「と……。この本、何だろ。古典の復刻版?」
レジに並んでいると台積みされていた本が目に入って、ついでにそれもーと購入を決めた。
タイトルは『リザベラ・レイモンドの冒険』。裏表紙には猪のイラスト。
帯に書かれていた文章には、不思議な島での七日間、の文字。
何となくシンパシーを感じたのだ。
ひょっとして、あの場所のことではないか、と。

「あ、ヤバ。このレシート当たりじゃん。らっき♪」
普段よりちょっと長めのレシートを店の照明に透かす。
1階の店の、生クリームフランペチーノ無料券がついてきていた。
足取り軽く店を出て、少し伸びをする。
「さーて、明日からも、元気でサイコーなあたしで行こうっと」
またいつか会えるかもしれない皆に、恥じない自分でいる為に。