来客
「……ふむ」
「海坊主、か。
やれやれ……この島にはこのような怪異まで現れるのか?」
見なかったフリをする、魚を捧げる、上から見下ろす。
そして、有り合わせの札を投げる。
「……手応えなし、立体映像。
会長、何やってるんですか」
程なくして海坊主の姿は消え。
中からは高校生が数人乗った船が現れた。
「やあやあ~トヨちゃん。ちょっとぶり~!
トヨちゃんがいなくなったと思ったら、そのすぐ後に見たことがない島が見えてきてね。
そっちにまた船を出してもらったんだ」
(“海開き”の影響、か)
「それにしてもトヨちゃん、ちょっと逞しくなった?
なんだか前会長にちょっぴり似てるような……」
「そんな。気の所為ですよ。
……私、前会長のように振る舞おうとしたけど、
結局あまりうまくいきませんでした」
岡流 常夜。
トヨミの姉であり、オカルト研究会の前会長。
「そう?んまあ、そんじゃこっちの船に乗ってくかい?」
「……いえ、私はあちらの船で帰りますよ。
ここでやるべきことがまだあるので。
それに……面白いものが色々見つかりました」
「おお!ここにも色んなものがあるんだね。
楽しみにしてるよ。待ってるね」
「ええ。それでは、お元気で。 ……あっ」
小さな船が遠ざかっていく。
それから間もなくして、トヨミのイカダは自壊したのだった。