Eno.40 岡流 豊魅の日記

来客

「……ふむ」


「海坊主、か。
 やれやれ……この島にはこのような怪異まで現れるのか?」


見なかったフリをする、魚を捧げる、上から見下ろす。
そして、有り合わせの札を投げる。

「……手応えなし、立体映像。
 会長、何やってるんですか」


程なくして海坊主の姿は消え。
中からは高校生が数人乗った船が現れた。

「やあやあ~トヨちゃん。ちょっとぶり~!
 トヨちゃんがいなくなったと思ったら、そのすぐ後に見たことがない島が見えてきてね。
 そっちにまた船を出してもらったんだ」


(“海開き”の影響、か)


「それにしてもトヨちゃん、ちょっと逞しくなった?
 なんだか前会長にちょっぴり似てるような……」


「そんな。気の所為ですよ。
 ……私、前会長のように振る舞おうとしたけど、
 結局あまりうまくいきませんでした」



岡流 常夜おかる とこよ
トヨミの姉であり、オカルト研究会の前会長。

「そう?んまあ、そんじゃこっちの船に乗ってくかい?」


「……いえ、私はあちらの船で帰りますよ。
 ここでやるべきことがまだあるので。
 それに……面白いものが色々見つかりました」


「おお!ここにも色んなものがあるんだね。
 楽しみにしてるよ。待ってるね」


「ええ。それでは、お元気で。 ……あっ」




小さな船が遠ざかっていく。
それから間もなくして、トヨミのイカダは自壊したのだった。