Eno.440 四条 千草の日記

友人の声は、自分の心に留む

「ええと……うんと……ごめん、時間ちょうだい。
 理解がちっとも追いつかないから……」

「自分がさっきまで知らない島に遭難してた……のは、わかる。
 実際経験したことだし、証拠となる土産もあるし、
 夢だとは思わないよ」

「……けど、なんで千草も同じような経験をしてるの……?

「別に同じ島に流れ着いたわけでもないやでしなあ」

「それもそうだし……あと、こっちの時間はなんか全然進んでないし……」

「まあ行方不明の大事にならんかったやでは良かったやでけど〜」

「……なんで千草はその喋り方に戻ったの?」

「環が難しく考えすぎないためやで〜」

「ええ……?」



「……実際、考えても答えは出なくない?
 謎の遭難、進んでない時間、確かにあるお土産……」

「ただ『そういうこと』だって割り切るしかないよ」

「……そういうもの?」

「そういうもの、だとは私は思う」

「そっか……」



「……ねえ、千草は島で……何があったの?
 大変なこと……苦しいことはなかった?」

「ん、なかったよ。友人たちと再会してサバイバル生活してた」

「そっか、良かっ……え? 知ってる人たちと?

「うん、奇跡的な偶然に」

「そ、そうなんだ……不思議な話……」



「……けど、千草が楽しかったなら良かった。
 さっき抱えてた御守りもぬいぐるみも……貰ったものでしょう?」

「うん。大事な友人たちからの、大切なものだよ。
 ……だから帰った時には、また仕舞う場所を考えないと」

「ああ……そういえば、ジュース入れてた紙袋の中に色々入れてたね。
 おせちの箱とか、ジョッキとか……
 あとよく使ってる組紐やしおりとかも戻す場所にしてたよね?」

「ん、それこそ今回もそこに詰めておくのが良さそうだけど……」

「流石に脱出キットやぬいぐるみは他んとこ置こうかな。溢れそうだし。
 指輪も、ちゃんとした器に入れときたいけど……」

「…………」


「? どしたの?」

「……なんでも」

「ないにしてはよく笑ってる気もするけど……まあいいか」



「……ああ、そうだ。
 帰る時には花瓶……になりそうなものも買っとかないと」

「え、お花かなんかでも持って帰ってきたの?」

「ん……私が、ではないけど。貰ったものだから」

「なるべく長く咲くように、生けて飾っておきたいんだ」