Eno.328 天使グッドラック

これまでの幸運

俺は幸運の天使だ!
人々を導くため、輝き続けることが俺の使命だ。
そのために、色々なことをしてきた。

サイコロのゾロ目の世界記録に挑戦したり、
宝くじの高額当選を狙ったり、
逆ロシアンルーレットたこ焼きを食べたり……。

俺は幸運だ。
なぜなら、どれも結構いい線まで行った気がするからだ。
いや流石に世界記録もウン千万もわさびのないたこ焼きも無理だったけど。

俺は幸運だ。
季節外れの超大型台風が実家を襲った時、帰省していた。
家族を安全な場所に連れて行ったが、じいちゃんが大事に大事にしている田んぼが心配だと言うから。
俺は幸運だから、大丈夫。見に行ってくると言うことができた。

じいちゃんはもうボケてきてるし、
他の家族は大反対で、殴ってでも止めるとか言われたけど。
天使の俺を止められるのは事務所だけだ。今生の別れみたいな顔をしないでくれ、オカン。

そして俺は嵐の夜に繰り出し、
天使の輪の明かりだけを頼りに田んぼの無事を確認し、
暴風雨に翼が煽られて、その後は意識がない──。

でも俺は幸運だ。
知らん島にいるが、生きている!