Eno.180 オルキーヌ

ゆ~とぴあかも

いつも通り、いつも通り。
確かあの日もいつも通り寝た気がする。

滞りなく、同僚の滞りまくった仕事を巻き取って片付けて帰って来て。
シャワーを浴びて、髪は適当に乾くだろうとして。

明日は仕事、定時で帰れるかなぁなんて。


しかしどうしたことか。

目が覚めたら海の上。
ていうか、水面ぷかぷか。

こりゃ夢か?とも思ったけれど、自由に動けるしきっと違うっぽいのだ。

それに自分以外にも流された人が4人程いるようで。
服装を見た感じ自身とは少し違った文化圏からやってきた者もいそうである。

一人ではどうしたもんかと首をひねり立ち尽くすところであったが三人寄れば文殊の知恵、五人揃えばなんとでもなりそう。
衣食住の衣と住が既に揃っているし、みんないいひとそう。

ちら、とスマホを見る。圏外。

二度三度見て、やっぱり圏外。

圏外であればメールも来ない、電話も掛からない。
何なら出社する足もなければ道すらない!

「ふっふっふ……!」
「合法的無断欠勤……、ちょっぴり早い夏休み……!」


「これはまさに楽園!ユートピア!!!」
「無人島、もとい……有人島最高~~~!!!!」


テントの中で小躍りしたい気持ちを抑えて今日は静かにねんねをした。