Eno.280 超散布意思

Day 1 am 4:00

無人の島の砂浜。

時刻は未明。太陽が目覚め、夜のとばりが払われ、少しずつ空が白みゆく。
きっとこれから百年先もずっと変わらぬ朝の光景。



然し。


はじめに見えたのは雲。

朝焼けを隠すが如く、長くたなびく雲の切れ端。

否、雲ではない。あり得ない。
"それ"は動いていた。殖えていた。ゆっくりと、およそ自然物と思えぬ速さで。

瞬く間に膨れ上がったそれはまさに雲霞の如き、
群れ。大群であった。

鳥だ。大小さまざまの。
色合いもさまざまな名前も知らぬ鳥の群れ。
狂ったように、あるいは導かれるように。
ひとつの大きな流れとなった"それ"は、そう時を置くことなくこの島にやってくるのだろう。


"それ"が島に齎すのは吉兆か凶兆か。


いまはまだ誰も知らない。