Eno.562 ナナシ

0.見慣れぬ白い世界

どれほど歩いただろうか、永遠と続くなにもない場所の道にその男はいた。大小さまざまな機械を引き連れてただひたすらにその出口を求めて。
「そうか、なにも知らないから得られないんだ。」
このままこの道のなかただ朽ちていくぐらいならと目を閉じ、文献で読んだことがある[自然]とはなんだろうとさまざなな形を思い浮かべてみるが見慣れた無機質な庭園以外は何一つ…。記憶からアプローチできないなら次を考えることもすでに限界に近い、口にできるものは底をつき。

 ごめんな、相棒_

諦めかけたその男のイメージボードにある一つの風景と音が満たされて_
浜辺という風景に流れ着いていた。

 自身を含めて30人ほどが流れ着いていることを把握しこの地を一周しているまに1つのテントがどこかへ流されていくのをみた気がした。
名乗る名前を捨てた自分にとって、この場所は何もかもが初めて見るものばかりでまず何から手を付けるか人の様子を探っているうちに、漂流物と木片を寄せ集めた寝床や水置き場と倉庫が次々に建ち、大隊が使用するような探索拠点ができた。
 拠点パワーなんて表現を使う人もいた、何日共に過ごすかわからない人々のためあの世界との最後の繋がりを陣地に置いた。

さて、僕が君たちの力になれることはあるかな。