Eno.76 アルジェント

とある貴族の手記 3

◆ 島に流れ着いていたボロボロになった手記より抜粋 ◆

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信じられるか。この世に悪魔だとかいうものが存在していただなんて。
期待なんかしてなかった。どうせ質の悪いオカルト本だって思っていたのに。
悪魔はいた。…私が、召喚できてしまった。
黄金の悪魔だと名乗るそいつはその名の通り
金貨ならいくらでもくれてやるという。…本当なら願ったり叶ったりだが。
悪魔という存在を信じていいものなのか?

山のような金貨の対価は私の姿を借りたいというものだった。
姿を借りたいと言っても身体を取られるわけではない。
どうやら悪魔は現在肉体を持っておらず、適当な姿を模りたいのだが
性質上許可をもらえないと人に近しい姿は模せないらしい。
…信じられるか。
呼び出したのは私だがそもそも悪魔など信用に足らない。
きっと後々魂をとられたりだとかするのだろう。そうに決まっている。

……だが本当に山のような金貨があれば、
この私でも領地の問題は悠に解決できてしまうだろう。
私が自由に使える大金さえ、あれば…。

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