Eno.533 疾流駆=テイラー

なんか流されたんだけど

あたしの今回の仕事は『ほんのり危険な海岸での薬草採取の護衛あと荷物持ち』。
この辺は人喰い部族も出てこないし一人でも楽勝よ!
殺人巨大ガニも殴り心地が素敵で気に入ったわ! いい仕事ね!

ノリノリで愛用の木刀丸(武器名)でいろいろボコしてたんだけど、
突然……ホントに突然よ! やたらデカい波が来てさらわれてしまったの。
依頼人はあたしが咄嗟に遠くへ投げたから、波にはのまれなかったと思うわ!
自分より相手を優先して身を守るなんて、あたしってば護衛の鑑ってやつじゃないかしら?
持たされてた荷物はあたしもろとも流れたけど命の危機に比べればね?

そして目を覚ましたらどっかの砂浜に流れ着いてたってわけ。
ここはきっと元いた海岸とは別の場所ね!
だってやたら暑いわ! ムカつくわ! 殺人巨大ガニもいないし。
あっ木刀丸(武器名)まで流されてるじゃないド畜生!!

これはもしかして遭難ってやつかしら?
依頼人がわざわざ助けにきてくれるとも思えないし、
なんやかんや生き延びていくしかないわね!