Eno.573 シュティエ・ボワート

0:前日譚

 
「アタシの次の任務先、
 ジーランティスって場所だって。
 知ってる?」

「知ってるよ。去年か一昨年に報告書あがってた世界だろ。
 浮き沈みするシマが大量にある絶海の世界ってやつ。
 色んな世界から色んな物が無人島にナガサレてるとかで
 上も気にしてるんだってさ。」

「え~!何それ面白そう!」

「気楽だな~。無人島だぞ? わかってるか?」

「わかってるわかってる!
 異世界の物かぁ~、お宝とかあるのかな?
 お土産持ってこれたら持って帰るね!」

「仕事だってこと忘れるなよ?
 ……そういえば、ジーランティス内は
 魔法とかそれに類する力が
 上手く作用しなくなるんだってさ。
 俺たちの飛行も上手くいかなくなるらしいから、
 うっかり隊列からはぐれないように気を付けろよ。」

「だーいじょうぶ!
 アタシ飛行訓練はいっつもトップだし!」

「……というか、
 次行く場所に関する資料ぐらい
 目を通して置けよ。」

「あとで探して読んどく!」

「いや後でじゃなくて今すぐ──」