Eno.206 エンティティとフィン

少女に対する とんでもない誤解

「ティティー! ぴかぴかしたの、みつけました!」

「宝探しのようですね、フィン。君が楽しそうにしていると、私も気分が良いです。
 それに、小さな居住区(エンティティ比)を手入れするのも悪くない。
 ヒトが小さなジオラマで遊ぶ理由がわかった気がします」


砂浜を歩きながら、でっかいのと子供がのんびりしている。

「ティティ、あっち、みてみて! きらきらです!
 んと…ほうちょうさん?」

「刃物まで落ちているんですか、この浜辺……
 さっきは割れたガラスもありましたし、君は絶対に一人で歩かないでくださいね……

「はあい!
 あのねあのね、ほうちょうさんで、おりょうりも、できます?」

「拾った刃物で? 傷んでいますよ?
 ……いえ、しかし、刃物は研げば調理にも使えるかもしれません。
 問題は、私と君は、刃物の扱いに慣れていないと言う点ですね。どなたかに研ぎをお願いしましょう」


「しかし、少女という生物は、生存能力に欠けたか弱い生き物なので(ド偏見)、
 複数の少女も使うであろう場所に刃物を置くのは心配ではありますね……」

「え! そう、なんです?
 わたし、もってたほうが、いいですか?」

「何を他人事のような顔をしているんですか。君もその一人ですよ。
 君、拘束されている状態でスヤスヤ寝るという、
 生への執着を全く感じない行動をしていたのを忘れましたか」

「へ…?」


「……」
ぎゅっ。

(おくるみされて、すや……)


「ほら! 一瞬たりとも抗いませんね君は!
 ……眠いなら、せめて休憩場所に戻って寝ましょう」


でっかいのとちっさいのは、今日もわちゃわちゃしている……。