Eno.451 船長

船長の悩み

飯が足りねえ。とにかく飯だ。

獣だろうが魚だろうが、
獲物が罠にかかるにゃ時間が要る。
銛で突くのも竿で釣るのも勿論やるとしてだ、
いちどきに獲れる魚の量には限界がある。

森の獣を追い回すのは分が悪ぃが、
そうも言ってられねぇかもしれねぇ。
くそ、おかはおれの領分じゃねぇってのに。

飢えと渇きは全ての不幸を招く。
どんなヤツでも狂った鬼に変えちまう。
高潔な君主だろうが、情深き聖女だろうが、
ご立派な人間様にも例外はねぇ。

そりゃ、できればネコは食いたかねぇがよ?
ヒトが喰い合うよりはマシってもんだ。

……畜生、腹減ったな。めんどくせぇ。

この妙な島のせいなのか?
それともおれが変わったのか?
理由なんざ分かりゃしねぇが、
とにかくここにいちゃ碌なこたぁねぇってこった。