Eno.16 ミオソティス

【3 ささやかな安寧】

 
 頑張って動いてたら疲れてしまった。
 そしたらネムレスが、
 ここで休んでいいよってしてくれた。

 ネムレスは僕の身体をお母様みたいに優しく撫でて、
 起きるまで隣に居てくれたんだ。

 ……そんなの、いつ振りだろう。
 安心出来た、嬉しかった。
 ネムレスのお陰で、穏やかに眠れた。

「……ありがとう」



 嬉しかったんだ、僕は。

  ◇

 嬉しいけれど、怖いのは。
 己が定めた結末を、分かっているから。

 “みんな”で無事に此処を出よう。
 “みんな”で生きて帰ろうね。

 “みんな”で
 “みんな”で
 一緒に──

 ゆめみているのは。

 でも、ねぇ、僕に優しくし過ぎないでよ。

──揺らいで、しまうじゃないか。