Eno.364 リヴィウィエラ

困った……

どうにも調子が悪い。
痛いような苦しいような、なんとも言えない不快感がある。
シマの中を移動していると特に強くなる。
かと思えば、ただ時間が経つだけでも辛くなる。
動くのが辛い。喋ることも億劫になる。
一体なんなのだろうとしばらく考えて、なんとなくわかったような気がした。
つまりこれは、エネルギーが足りていないのだ。
その証拠に、拾った木の実や野草を食べれば少し症状が和らぐ。
水を飲めば喉の不快感もなくなった。
なるほど、と思う。
これがつまり、飢えであり、渇きであるというわけだ。

「なかなか……つらいものだな」


その辺りに座り込んで、しんみりと思う。
きっとこのことを、本当の意味で理解したことなどなかったのだろう。
どんなに想像しても、実感するのとはまるで違う。
当たり前のことなのだが。
あまりにも今更だが、実感出来ただけでもよしとする。
ほんの少しであっても、今までよりは命に近づけたと思うので。