Eno.76 アルジェント

とある貴族の手記 6

◆ 島に流れ着いていたボロボロになった手記より抜粋 ◆

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おかしい
おかしいおかしいおかしい
感謝をされることはあっても、恨まれることなんてあるはずがない
私は救ったんだぞ 両親のように自分の利益だけをとるのではなくて
救っただろう 食糧を配ってやった 金を配ってやった 
生きられるようにしてやったはずなのに どうして

扉が破られる音がする
なんでだ どうしてこうなった
十分にあったはずだ 食料も 金も
なのにもっと欲しいだと まだ足りないだと
浅ましいにも程がある 私が助けなければ死んでいただろうに
もっと蓄えているはずだって なんでそんなことが言えるんだ
どうして私に牙を剝く 人間の欲とはこうも恐ろしいものなのか

それともあの悪魔のせいか?
あいつの齎した金貨にはよくないものがかけられていたのでは?
そうだ そうにちがいない だってそうじゃなきゃおかしいだろ
私が非難されるのはおかしいんだ
なぜ私が怯えて隠れなければならないんだ
ああ 母の悲鳴が聞こえる
もう駄目なのかもしれない 私は何を間違えた
どうして 私は────


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