Eno.181 潮彩のリューカ

地方大会へ

目指すはリヴィラナとヒュマモンバトル世界一、とは言うけれど。
まずは地方代表を決める大会で優勝しなくちゃ。

わたしたちふたりは、旅先でたくさんの経験を積み重ねてきた。
目標のレベル3にはまだ届いてはいないけれど、リヴィラナとなら大丈夫。
もう簡単には、へこたれたりしない!

地方大会のトーナメントは順当に勝ち抜けて行ったけれど、決勝戦は本当に緊張していた。
わたしの対戦相手は、優勝候補とも名高い『ディラン・カーター&ルフシード』。
ルフシードは風/木属性の鳥型のヒュマモン……レベル3の格上だ。
こうして相対すると、本当に強そうに見える。

わたしがレベル3のヒュマモンを見たのは、これが初めてだ。
けど怯むわけにはいかない。世界を目指すなら、ここは絶対に越えなければいけない壁だ。

「勝ちましょう、████!」

リヴィラナの声が耳に届けば、わたしはしっかりと覚悟を決める。

審判の「始め!」の合図と共に、両者のヒュマモンはフィールドへと踏み出していった。

――――――
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――

長期戦の末、決着のゴングが鳴り響いた。
試合の結果は――リヴィラナのK.O.勝ち。

レベル2のヒュマモンが格上のレベル3を倒すという多くの人々の予想を覆した結果に、実況席も観客席も一時はどよめいた。
しかし実況が気を取り直して、リヴィラナのジャイアントキリングを褒め称えると、観客席も再び大いに盛り上がった。

優勝テイマーである当のわたしは、現実に気持ちが追い付かずにぼんやりしていると、
対戦相手のディランが熱烈に握手を求めてくれた。
こんなにも熱い絆で結ばれていて、自分を驚かせてくれたコンビは君たちが初めてだ、と。
握手した彼の手は、ルフシードのようにとても力強かった。

ルフシードはフィールドから降りる前に、意味深な眼差しでわたしたちを見つめていた。
不満とも感服とも違うあの目の意味を、今のわたしはまだ知らない。


世界大会への第一関門は突破した。
地方代表となった次は、国の代表を賭けた戦いが始まる。

"勝って兜の緒を締めよ"、という日本のことわざを思い出しつつ、
わたしとリヴィラナは再び特訓に励むことにした。