Eno.206 エンティティとフィン

密かに カルチャーショックを受ける

「この島に流れ着いた方々は、華奢なように見えましたが……
 一様に非力だ、と考えるのは間違っていたようです」


一見しても二度見しても、身体の大きさで言えば圧倒的にでっかいのはエンティティなのだが、
どうも、膂力や体力に関しては、体格に比例する訳ではないらしい。

エンティティ自身がつい先ほど、重量のある斧をヒョイと持って行き、
山のような木材を持ち帰って来た少女の姿を見たばかりである。
フィンが「ちからもちです!」と歓声を上げていたのを否定する要素はなかった。

それでも、体格差のあるエンティティから見ると、小動物を見るような気分になってしまうのだが。

「ティティ、こまったさん、です? だいじょうぶ?」

「おや、誤解させてしまいましたね。
 困っている訳ではありませんよ。大丈夫です」

「ほんとう? よかったです!」


心配そうな顔から一転、にこにこするフィンの頭を、エンティティがなでぽふする。

「予想外の戦力は意外でしたが、助かることばかりですからね。
 物資にも余裕があることですし、天気が良くなるまで、休息を取ったり、道具を作ったりしておきましょう」

「がんばります!」


……しばらくして……

「ティティ…おやすみのとき、ぎゅ、してほしいです…」
「……寒いんですか? 気温は充分だと思うのですが、服が湿気て、気化熱に負けているんでしょうか……
 私の体温を上げておきますね」
(やはり少女と言う生き物は、弱いのでは……)