Eno.364 リヴィウィエラ

楽しい

木を切る。
火を起こす。
水を汲む。
ものを食べる。

万全に動ける状態を保つだけでも大変だ。
それでもそういうものだとわかれば、其れが躊躇するようなことはない。

木の実を拾う。
貝を採る。
道具を作る。
獲物を捕る。

本来であればそこまでしない。食べる必要がないからだ。
だけどここではそうではないから、其れが躊躇するようなことはなかった。

「どうもありがとう。いただきます」


手に入ったものを、ありがたく全部頂く。
教わった感謝の言葉は、いつの間にかすっかり染み付いてしまった。
躊躇はない。ここで食べるものには味がするので。
自分で焼いた肉ですら食べられる。だからありがたく頂くことにする。

喉が潤う。
お腹が満たされる。
それがなんだかやっぱり楽しい。
生きてるっていいなぁ。