Eno.53 ノア・イトゥドノット

8:何時もの事だ[ノア]

光もなく暗い世界で独りで居るのも
何処からか浴びせられる憎悪の籠った無数の罵詈雑言も
大事だった者達からの冷たい態度を見せつけられるのももしかしたらと手を伸ばそうとした者からの否定も
それを凪ぐように受け入れているのも

まあ、何時もの事だ…こんなのは

だから何時も通り受け入れればいい
救われようなどと思うな他者に心を許すな
どうせ何も変わりはしないのだから
嗚呼、でも、それでも………
唯一の友だけは…友と呼んでくれた彼奴からの願いや約束だけは『終わるまでに出来るだけでいいから果たしてやりたい』
処刑人は独りそう思いながらこの悪夢を耐えている
耐えながら生きて願いを、約束を果たそうとする
"其れが終わりの無い終わりの片道切符な事も知らないで、その友の事彼の真実を何一つ知らないままにこの処刑人は誠実に愚直にその道を進むのだ"

[ノア]