Eno.112 【空繋ぐ機装魔導師】七曜

一年前の憧れ

「あの夜に見た景色を、今度はみんなで見たいんだ」

 おばあちゃんはそう言って、陽沈まぬ夜の彼に託された灯を胸に戦場いくさばへ降り立った

 かつての輝きを断片的にしか知らないながらも、あの白夜への憧れを胸に
 不器用ながらも真っ直ぐに、再び蘇る夢へ向かった

「君達を信じてるよ」

 そんな言葉を遺して
 敗れても尚、足が抜け落ちるまで走ろうとした

 母さんも「人使いが荒い」と言いながらそれに応えようとした

 ……でも私は、

 二人とは違うから、 

 痛みをロクに感じないくせに、死への恐怖だけがそこにあって
 こないだだって、魔物に襲われて野垂れ死ぬ夢で目が覚めた

 仮に生霊となるだけだとしても、あの感覚が現実味を帯びることがたまらなく恐ろしくて
 今でさえ死が近づく度に息が詰まって

 ……憧れだけじゃなれないってわかってた癖に