Eno.181 潮彩のリューカ

頂上への道

「――本邦頂点を決めるヒュマモンバトルが、いよいよ始まろうとしています!
 世界大会への切符を手にするのは誰になるのか!?」


国の代表を決める戦いを予告するアナウンスが、首都のアリーナで高らかに響いた。

わたしはまたしてもガチガチに緊張し、リヴィラナにタオルで額の汗を拭いてもらっている。

「そんなにたくさん汗流してたら、干からびちゃうわよ?」

リヴィラナがそう言ってくれているものの、未だレベル2止まりの中でまたもレベル3との戦いを強いられているのだ。

それどころかわたしたちは、準決勝とその前の2回戦共にレベル3と戦い、奇跡的に勝ち抜いている。
やれ大番狂わせだの、期待の新星だの、そういった評判がいつの間にかわたしについてきていた。
リヴィラナはわたしたちコンビが出ている新聞記事を、嬉々として切り抜いて保管してくれているが、正直恥ずかしい。

対戦相手はマドレーヌ・レヴィンソンとその相棒ライノホーン。雷属性の草食獣型ヒュマモンだ。
リヴィラナは雷属性が苦手だ。同じレベルでの対戦でも勝率が低い。
誰が考えようとこちらが不利なのに、リヴィラナが落ち着いていられるのが不思議だ。

「…………」

「リラックスして████。あなたはとっても強いテイマーだもの」

不安で震えるわたしを、リヴィラナはぎゅっと抱きしめてくれた。

今のリヴィラナは頼れる相棒というよりは、まるで母親みたいだった。
まあ、元から母親代わりみたいな存在だけれど……。

私は冷たい水を飲んで、アリーナのフィールドへと出た。

――――――
――――
――

わたしの読み通り、ライノホーンとのバトルは苦戦を強いられた。
必殺の稲妻攻撃が直撃しないようにリヴィラナを立ち回らせて、耐えるのがやっとだ。

「まだ立っていられるのね。けど、そろそろ終わらせてあげる」

相性で有利とはいっても、相手も全力だ。元より手加減をしているつもりはない。
こちらも、これ以上持久戦を続けるのはごめんだ。
戦況をひっくり返せる、勝ち筋を見つけなければ!

その時、リヴィラナが言った。

「████、私を信じて! 心を合わせるのよ!」



――そうだ。
 この状況を打開する方法は、ただひとつ!

「「ココロ・ユニゾン・エボリューション!!」」



リヴィラナの体が特徴的な光に覆われ、その姿を変える。
リヴィラナとしての名残を残しながらも、神秘的で美しい水竜がそこに現れた。

私が手に持つヒュマモンギアが、リヴィラナの新たな形態名をコールする。

≪レベル3 リヴィエール≫