Eno.206 エンティティとフィン

意外と 疲労が油断ならない

「漂流2日目にしてようやく気付いたのですが、
 あれが空腹という状態だったんですね」


調理場で焼ける魚を眺めながら、前日の行動を振り返る。
この島に漂着してから、何となく調子が悪いようなライフが減っている熱量が不足しやすい気がする食べ物と水が赤ゲージ、と思いつつも
土地の影響だろうかと然程気にしていなかったのだが、雨音が止む頃には明確に不調を起こしていた。

そこでようやく、どうも補給が足りていないようだと気付き、水を飲んだり魚を焼いて食べたりして一眠りした結果、
すっかり調子が戻ったのだから、ヒトより頑丈な身といえども不摂生は良くなかったのだろう。
幸い、ヒトに換算して成人の一食分程度でエネルギーが足りたので、今後は活動後に補給を忘れなければ問題なさそうだ。

「ティティ、だいじょうぶ?」

「はい、充分に回復しました。大丈夫ですよ。
 倉庫を見る限り、物資も充分のようですし、我々は散策を重視してみましょうか。
 ……そう言えば、この島には、海を隔てて離島もありましたね」

「わわ、おしま、いきます?
 およぐの、がんばります…!」

「ダメです。自滅を頑張らないでください。
 色々な漂着物があるのですから、それを使って、せめて小舟のようなものを……」

「おふね! たのしそうです!」


きゃっきゃとはしゃぐ子供と一緒に、焚き火の前でのんびり過ごしている……