Eno.181 潮彩のリューカ

進化

……やった! わたしのリヴィラナが、レベル3に!!
最強となった自分の相棒の姿に、わたしは息を呑んだ。
会場のボルテージも、急速に上がっていく。

けれど、今は戦闘中だ。
ライノホーンとの決着は、まだついていない!

その後も激戦は続いたが、徐々にリヴィエールが優勢になっていった。
序盤の不利をもものともしない、パワーアップした相棒のすさまじいパワーに、
わたしはただただ魅せられていた。

「一気に決めるわ!」

ライノホーン、マドレーヌ、会場のみんな。全員目に焼き付けなさい。
これがわたしの相棒の、新しい技よ!

「「『タイダルウェーブ』!!」」

巨大な波がフィールドをまるごと飲み込み、観客席の一部もずぶ濡れにした。
勝負の結果は……。

「――マドレーヌ選手のライノホーン、戦闘不能です!
 ████選手とリヴィエール、奇跡の逆転優勝ッ!!」



その瞬間。会場のすべての人々が熱狂した。

戦いを終えたリヴィエールは、なんだかボーっとした様子だった。
長期に渡ったバトルと急な覚醒で、疲れちゃったのかな。
でも大はしゃぎするわたしを見ると、安心した顔をして、またぎゅっと抱きしめてくれた。

けどその時のリヴィエールの目が、どこか悲しみを帯びていたのは、なぜだろう……。
レベル3に到達したヒュマモンたちは、みんなそういう目になってしまう。
どうしてみんな、楽しそうな目じゃないのかな。
わたしが心配して、リヴィエールに声をかけようかと思っていると……。

「……大丈夫よ、世界大会でもがんばりましょうね、████」

リヴィエールは気丈に振る舞う。

けれど、彼らの目の意味をあの時までに理解できなかったことを。
わたしは今でも、後悔している。