Eno.184 アメトリン

シマのお話:08

皆が頑張ってくれるお陰で食糧が集まる集まる。
あっという間に倉庫が一杯になったから、そりに使う分の素材を倉庫に充てて拡張した。

これで暫くは飢えないかなぁ…そりを作るのは他の人にお任せしよう…さらば闇夜を照らすそり

後は毛皮目当てで狩猟したり、追加で鉄の斧を作ったら疲れちゃった。
オレ、やっぱり要領悪いかも。

自分が貢献してるか心配している人もいたけど、きっとオレより貢献できてるよ。

大丈夫だよ。

ミーニャさんがラーメン作ろうとしてた。
すごいよねぇ、クラヴィルさんもクラブサンドイッチとかおしゃれなものをつくってたし、お料理が出来る人凄いよ。

でもおかしいな、なんだかカップラーメンとか、そういう単語がなんだか懐かしい気がする。
懐かしいはずなんてないのに。

……もう寝よう。

この姿になる前のオレのはなし



仄暗い、救いのない記憶のお話

俺は日本の、雪深い地域に住んでた。
寒いのは嫌いだった。
親の喧嘩の度にいつも外に出されるから。
家にいたときはいつもカップラーメンを食べていた。それが沢山あったし、菓子パンよりも腹持ちして温かくて美味しかったから結構好きだったなぁ。

そんなだったのに、背は良く伸びたんだよ。でも力は無かったし、要領も悪かったから虐められた。
学校が嫌で、家も嫌で、早くどこかへ行きたくて卒業したらバイト先の食堂に住み込みで働こうと思ってた。

なのに。

俺は海へ突き落とされた。寒中水泳ゲームだって。
心臓が締め付けられるような息苦しさと、感覚がどんどん無くなっていく怖さにパニックになった後、ふっと、「もうどうでもいいや」って思ったんだ。

記憶はまた奥底に沈んでいく。