雨上がりに 約束をひとつ
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「文明の発展を追想しているようですね」
最初は本当に何もないところから、辛うじて屋根のある場所を用意して、その周りに食糧や水を保管する場所が増えていき、
現在、子供は調理場で、パンやパンケーキを焼いている。
人間の村落はこうして発展するのだろう、と思いながら、漂ってくる甘い香りが、香ばしく変わっていくのを見守った。
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「ティティ、みてみて! ふかふか、できましたー!」
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「美味しそうに焼けましたね。本当にフカフカです」
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「主食になりそうなので、この小麦粉のような実も採取しておきたいところです。
森林で何度か見かけましたが、離島には生えていないのでしょうか」
雨が上がったら、離島に散歩に行こうと話していたのだが、
楽しそうに料理をしているところを見ると、行き先に迷いが生じる。
しばし考え込んでいると、調理器具を片付けた子供が、ちょこちょこと寄って来て、首を傾げた。
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「ティティ、どうしたの? だいじょうぶ?」
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「すみません、少々考え事を。
雨が上がった後、出かける先についてですが……」
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「おでかけ! わたしもね、おでかけ、たのしみ、です!」
ワクワクしている様子を隠そうともしない子供を見下ろして、緑の目が一度、ゆっくりと瞬きをする。
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「そうですね、散策を楽しみましょう。
離島で見つからなければ、後で森に寄り道しても良いのですし。
そのためにも、雨が止むまでは、のんびり体力を温存しておきましょうね」
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「はあい!
…あ! あのね、ティティ、おやすみのまえに、おふろ、いっしょしたいです!」
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「……フィン、とても申し訳ないのですが、私がヒトと同じサイズでも、ドラム缶に二人もは入らないと思います……」