Eno.434 エイリーク・N・A・ウエザラル

急転。

 
それはコンラードが戻らなくなってから暫く経った時に起こった。


彼の眠る場所に1匹の獣・・・・恐らく大型の『イノシシ』が
侵入した。

通常・・・・野生生物は人のいる場所には余り近づかないのだが
今回、多数の人が、この島に流れ着いてしまい、かつ野生生物達が
暮らす場所から比較的に近い場所に集まってしまった。

故に自ずと野生生物達との距離が近くなってしまい拠点への侵入を
許してしまったようだ。
そして・・・・野生生物と言うのは本能的に弱い人間の所に行く事が
多い・・・・ましてやベッドで眠っていた『青年』の頭部からは
如何にも『美味しそうな葉』が生えていた・・・・。

それを『イノシシ』は見逃す事は無かった・・・・彼の『葉』を咥え
何処か『安全に食せる場所』へ彼ごと引きずって行ってしまった。

その際に、擦り剥いた時の血が床に残り・・・・テント内のベッドや
諸々が壊れてしまった・・・・。

そして『イノシシ』と『彼』は森林の奥深くへと消えてしまった。

引きずられた跡や足跡も雨のせいで時間と共に消えて行くだろう。

いずれにせよ・・・・彼の居た場所は蛻の殻になってしまったので
あった・・・・。