【5 勿忘草は、愛が】
いつもみたいに無茶をした。
僕が傷付いてれば良い、
帰ったところでどうせ死ぬのだからと。
何故、と言われた。だから。

「……感情を、
ぶち撒けてやったんだ」
知ってる、僕は綺麗な心の持ち主じゃないこと。
僕の奥底には、醜い化け物が住んでること。
でも、言ってしまった、尋ねてしまった。
そうすることで、安心を得たかったから。

『──悲しんで、くれますか?』
僕は、愛が欲しかったんだ。
あぁ、実に身勝手な問い掛けだったよ。
分かってるんだよ、そんなこと。
◇
ニライに、本気で怒られて。
周りのみんなから、言葉を掛けられて。
心の闇が、完全に晴れた訳じゃない、でも。

「……生きようって、思えた」
『ミオソティスに死んでほしくない』
真っ直ぐな瞳を、忘れることはないだろう。
生きていても良い理由をくれた君を、
僕の枯れた心に水をくれた君を──。

「……あは、は。
僕……生きていて良いんだ」
身勝手な愛で大切な花を傷付けたのに?
暴走の果てにお父様を殺したのに?
みんなに大きな迷惑を掛けたのに?
そんなに真っ直ぐな瞳でそんなこと言われたら、
固めていたはずの決意は、
灰になって消えたんだ。
◇
居場所がない僕。
ネムレスが、自分のところへ
連れてっても良いよと言ってくれた。
死ななきゃならない理由は、
もうなくなっていた。

「……後でみんなに、謝らなきゃ」
昨日、掛けた迷惑は大きいけれど。
許してくれない人もいるかも
知れないけれど。
それでも、それでも、謝らせて。
◇
鮮やかな花を手に、
色々と試行錯誤している。
島が沈むまでに、何か、出来ないかな。