Eno.42 空にて寄り添う、二つ星

~休題~

或る日、黒と白の親子猫達は、水辺の近くを歩いていました。
其の水辺は、一目見ただけで、とても深く、流れも急だと判ります。

黒いきょうだい達は閃いて、名案とばかりに頷き合って。

白い子猫を、転倒したと見せかけて、其の水辺に突き落としたのです。

母猫が気付いた時には、白い子猫は、あっという間に流されてしまいました。
それでも、母猫は我が子を助けようと、自らも水辺に飛び込んでいきました。
黒いきょうだい達は、其れは其れは驚きました。
だって、野良で生きる事は、即ち弱肉強食である、筈なのですから。

少しして。
暫くして。
暗くなって、夜が明けて。

其れでも、母猫と白い子猫は、戻ってきませんでした。



残された黒い愚か者達は、自分達がしでかした事を漸く理解し。
ずっとずっと、鳴き泣き続けていました――