Eno.53 ノア・イトゥドノット

11:己とは何か[ノア,外宇宙の異端の神]

『案外なんとかなるものだな…クラフト』


拠点に補強用の壁を設置した
レンガを使ったし此で恐らく強い雨風などが吹いても耐えられるだろう
私は処刑人だよな???建築士では無いんだが
しかも何気にサバイバルに馴れているし……
只、まあ…そうだな…昔から適応力は有った気はする
適応力とか誰かの模倣とか
そういったもの経験を力にしてきたな
其れもやはり"己がない"が故なのだろうが
1000年以上生きて自覚した才が其れなのは
…嬉しくはないな…まったく

[ノア]





矮小で何もなかった私は己とは何かを知りたくて
己という個を確立させたくて
ある世界で色んな欠片フラグメントに手を伸ばしては私のものにしていった
アレからすっかり姿形、種族すらも変わっているけれど
決して変わらなかったものもある

欲しいものは欲しいという"強欲"
其れが私たらしめるものであり
どれだけ分体を作り散らばらせる事は出来ても切り離す事など出来ない確かなもの

そんな私から生まれた分体…ネムレスも例外ではなく
だからこそ全てを諦め未来でなく今だけをがむしゃらに生きている様なミオが気になって仕方がなかったのもまあ、至極当然の道理で
昨晩、ミオの抱えてるものや現状をネムレスが知っても
『本当に欲しいものを諦め
誰も愛しも悲しみもしない国や孤島で来るべき死を受け入れようとした』事が分からなくて仕方がなかったそうだ
だって自分を愛さない国や世界なんていっそのこと捨ててしまえと思ったから
けれど其れではミオが何処で咲けば良いか迷うだろう
だからネムレスはミオに『連れて帰る』と言ったのさ

「私達は欲が深いんだ
愛と同じくらいにね」



[外宇宙の異端の神]