Eno.112 【空繋ぐ機装魔導師】七曜

第一章【“マスター”と、私】

 目覚めると、白衣を纏った少女が私の目の前にいた

 彼女は自身をマスターと名乗り
 私を造った科学者であると語ってくれた

 それから、色々な事を教えてもらった

 私はマスターに造られた“娘”である事
 マスターは唯一の家族を置いて異世界へ迷い込んでしまった事
 新月と言う魔女が私の母親にあたる事

 マスターの元々いた荒廃した世界の事

 あとは勉強の事とか、礼儀作法の事とか
 昔造ったホムンクルスの話もしてくれた

 五年くらい、そんな日々が続いた
 私はいつの間にか、マスターの背丈も
 見た目の年齢も追い越していた

 生まれた時から私の外見は十歳を越えてて
 振り返ってみると、赤子でいた頃はほぼ無かった

 それでも、私はマスターに愛情を注がれ
 静空と言う名前も与えられたから
 特に疑問に思う事はなかった

 でも、ひとつだけ思うところがあるとすれば
 私にとってマスターはもう一人の母親なのに
 お母さんって呼ぶと、マスターはいつも寂しそうな顔をして訂正させた

 新月お母さんに会いたい。次第にそんな気持ちが募り
 その願いは案外すぐに叶う事となるのでした