お風呂上がりの 楽しみと言えば
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「ティティ! おせなか、ながしっこするの、まかせてください!
んと…まずは、よこになって、だらだら、してくださいっ」
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「何処から訂正すれば良いのか……
おそらく、入浴とマッサージが混ざっていますね?」
ぽかぽかのお風呂の前で、濡れタオルを準備する子供へ、でっかいのは心配の目線を向けた。
清潔にした布で身体を拭くのは、発想としては間違っていないだけに、
「背中を流す」やら「地面に寝そべる」やら、微妙に混入した異物がかえって目立つ。
ついでに、薄着の子供が蒸気の中で突っ立っているのも、逆に身体を冷やしそうで心配になった。
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「それよりも、まずは君が、ちゃんと温まってください」
「はぁーい」
タオルをスタンバイしていた子供は、促されると素直に湯船に浸かる。
一緒にタオルもお湯に浸けて絞っているが、彼女の力ではびちょびちょのままだ。
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「大丈夫ですか? タオルは私の方で絞りますよ。
入浴も意外と体力を使いますから、君も温まりながらゆっくりしてください」
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「ありがとー! つぎはティティも、いっしょにぽかぽか、したいです」
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「気持ちはありがたいのですが……
私の体積で入るには……もう温泉を掘るしかないのでは……?」
色んなものが流れ着く島ではあるが、流石に源泉は湧いていそうにない。
そんな話をしながら、受け取ったタオルを絞って表皮を拭く。
水を吸わない金属めいた表皮は、毛皮などと違って手入れが簡単で、
表面積が大きくても拭き終わるのにさして時間は掛からない……
……掛からなかった、はずなのだが……
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「てぃてぃ…くらくら、します…」
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「クラクラ?
……もしや、のぼせたんですか!? この短時間で!?」
10分ほどしか経っていないはずだが、何故か子供はフラフラになっていた。
湯冷めしないかと心配していたところ、逆にのぼせたことに驚きつつ、とりあえず湯船から引き上げる。
もしや水温が高すぎたのでは、と触腕を浸してみるが、特に熱すぎることもなく。
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「体力のなさを、まだ侮っていたようです……
ひとまず、風にあたりながら、水を飲んで休みましょうか」
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「おみず…つめたいの、ほしいです…」
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「そうですね。常温よりも冷やしたほうが、湯上がりには美味しいでしょうし。
……確か、離島に冷たい花がありましたから、飲食物を冷やせる設備が作れるかもしれません」
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「わ…アイスさんも、できます?」
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「アイスですか? それは厳し……
……いえ、牛乳っぽい木の実や、砂糖もありますから、できそうな気も……」
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「ともあれ、作るには時間も素材もかかると思います。
君が元気になった後で、散策をしながら考えてみましょう」
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「えへへ…たのしみ、ですっ」