Eno.559 アスター

回顧

青い海を見ていると、弟のことを思い出す。
あの子は真っ青な瞳をしていた。
幼くして、獣に喰われて死んだ。
それでよかったのだ。

私の、家に帰れない呪いは、報いなのだろう。
だがあの愛憎を、嫉妬を、衝動を、どうして止められる?
私から全てを奪って、全てを生まれながらに備え、なお無垢な笑顔を、どうして恨まずにいられよう?


私ははじめから正気ではないのだろう。