Eno.115 ハイド・スキン

無題1

 行きついた島の生活は驚くほど順調だった。
上層育ちの男と、中層の浮浪なりたての餓鬼、働かないと言いながら優秀な奴……と、もう一人いるのか?
幽霊か透明人間か、私と同類かのどれかか。今の所狂人の気配はしないが――兎角、順調。
島が沈まなければ完璧だとは何度かした話で下層よりもずっと過ごしやすい。
 昼夜の感覚こそ薄いが、それなりの時間で生活基盤は十二分に整っている。あんな都市から出た奴でも天秤に命が乗れば協力できるらしいな。
少なくとも足の引っ張り合いをする気配は感じられない。餓鬼に至っては媚びて来る始末だ。

それに――と、時間か。また後にでも。