夢の終わり
世界大会の、表彰式。
若きチャンピオンの誕生の祝福の言葉が、未だに雨のように降り注ぐ中で。
わたしは歓声轟く花道を歩き、表彰台へと登る。
地方大会から登り詰めた頂上からの景色は――まるで、天国みたいだ。
盛大な音楽と祝辞が述べられ、わたしにトロフィーが授けられる。
トロフィーは子どもの両手にも収まるサイズだけど、なんだか重たく感じた。
それもそのはず。わたしはここに至るまでに、
同じように努力してきたテイマーみんなの願いを、手折ってきたのだから。
それでも叶えたい夢があった。わたしには、会いたい大切な人がいる。
![](https://www.rabbithutch.site/usagoya/picture.php?user=spherelord&file=cutin_shimav3.webp)
カメラマンにわたしのヒュマモンギアで写真を撮ってもらって、盛大な表彰式は幕を下ろした。
―――
――
―
いよいよ、わたしの願い事を叶える時が来た。
これがヒュマモンバトル世界大会最大の、目玉といっても過言じゃない。
ずっと、この時を待っていた!
華やかな表彰式が終われば。会場に、何かの儀式のような舞台が用意された。
科学で栄えるこの世界でやることにしては、魔術的な雰囲気で怪しげだけど、
これに願いを何でも成就させる秘密が隠されているのだろうか。
わたしが聞いた話では、過去の優勝者の願いは一攫千金や不治の病の完治、
さらには死者の蘇生に成功した例もあった。
だから、わたしの願いだって叶うはず。
儀式台に登ったわたしは、求め続けた幸せを頭に思い浮かべる。
みんなにとってはありきたりだけど、わたしにとっては大切な願いを。
リヴィエールも見守る中で、わたしは慎重に口を開いた。
![](https://wdrb.work/shimav2short/imgs/no_image.png)
――――わたしがその宣言した瞬間。異変は突如として起こった。
会場上空におびただしい暗雲が立ち込め、人々は皆混乱する。
そして雲に風穴が開いたと同時に、会場全体が眩い光に包まれた。
光が止むと、リヴィエールがいた場所には、
彼女を思わせる、海のように青く綺麗な髪をした、壮年の女性がそこに倒れていた。
何が起こったのか、当時は全然わからなかった。
けど今なら思い出せる。
わたしは――
![](https://wdrb.work/shimav2short/imgs/no_image.png)
ヒュマモンになってしまったのだから。
若きチャンピオンの誕生の祝福の言葉が、未だに雨のように降り注ぐ中で。
わたしは歓声轟く花道を歩き、表彰台へと登る。
地方大会から登り詰めた頂上からの景色は――まるで、天国みたいだ。
盛大な音楽と祝辞が述べられ、わたしにトロフィーが授けられる。
トロフィーは子どもの両手にも収まるサイズだけど、なんだか重たく感じた。
それもそのはず。わたしはここに至るまでに、
同じように努力してきたテイマーみんなの願いを、手折ってきたのだから。
それでも叶えたい夢があった。わたしには、会いたい大切な人がいる。
![](https://www.rabbithutch.site/usagoya/picture.php?user=spherelord&file=cutin_shimav3.webp)
カメラマンにわたしのヒュマモンギアで写真を撮ってもらって、盛大な表彰式は幕を下ろした。
―――
――
―
いよいよ、わたしの願い事を叶える時が来た。
これがヒュマモンバトル世界大会最大の、目玉といっても過言じゃない。
ずっと、この時を待っていた!
華やかな表彰式が終われば。会場に、何かの儀式のような舞台が用意された。
科学で栄えるこの世界でやることにしては、魔術的な雰囲気で怪しげだけど、
これに願いを何でも成就させる秘密が隠されているのだろうか。
わたしが聞いた話では、過去の優勝者の願いは一攫千金や不治の病の完治、
さらには死者の蘇生に成功した例もあった。
だから、わたしの願いだって叶うはず。
儀式台に登ったわたしは、求め続けた幸せを頭に思い浮かべる。
みんなにとってはありきたりだけど、わたしにとっては大切な願いを。
リヴィエールも見守る中で、わたしは慎重に口を開いた。
![](https://wdrb.work/shimav2short/imgs/no_image.png)
「わたしの願いは。わたしを産んだ母さんに、会うことです」
――――わたしがその宣言した瞬間。異変は突如として起こった。
会場上空におびただしい暗雲が立ち込め、人々は皆混乱する。
そして雲に風穴が開いたと同時に、会場全体が眩い光に包まれた。
光が止むと、リヴィエールがいた場所には、
彼女を思わせる、海のように青く綺麗な髪をした、壮年の女性がそこに倒れていた。
何が起こったのか、当時は全然わからなかった。
けど今なら思い出せる。
わたしは――
![](https://wdrb.work/shimav2short/imgs/no_image.png)
「……ぷっきゅい?」
ヒュマモンになってしまったのだから。