Eno.26 アルセ・K・ディアス

暑い

快晴、降り注ぐ日差し、急上昇する気温。これは流石に暑い、ここに流される前は極寒の異界に居た為に冬服だったのが完全に災いした。

「(まさかいきなり真夏の島に流されるとは思わないだろ、しかも実体化が解けなくなるなんて更に予測出来るか……)」

まず異界内では本来の姿なら寒さを感じないとはいえ実体化する可能性もあるので流石に普段着で向かうわけには行かなかった、そして当然予備の服も冬服な上にそもそも漂流時に喪失した。

現在はセーターで島の中ではもっとも涼しい氷室付近で休憩中。流石にコートは脱いだがそれでも暑い。かと言って服を脱ぐと虫に刺されかねない。熱中症になりそうなら流石にそうも言ってられなくなるが、この状況だと本来罹らない虫を媒介した感染症にかかる可能性もある為今の所は涼しい場所で暑さを凌ぐ選択をしている。

そもそも本来なら実体化していても暑さで熱中症になることはまず無い。仮にあったとしてもそれは何百度となった場合だろう。幾らなんでもこの島でそこまで気温が上がるとは思えない、思いたくない。それにまだ人間だったとしてもなんとかなる範囲だ、氷室付近なら真夏の日本よりはマシだった。

「(本当にこの島は面倒だな……)」