~休題~
――其の日は、冷たい雨が降っていた。
傘をさして歩いていると、か細い鳴き声が聞こえた。
声の方角へ向かってみると、其処は開いた側溝で。
事切れた黒猫と、寄り添いながら鳴き続ける白い子猫が居た。
恐らく、野良の親子だったのだろう。
私は一度来た道を戻り、近くの店で子猫用ミルクとタオルを購入し。
結果として、二匹を連れ帰る事にした。
親猫の遺体は、家の庭に埋め、魂が安らかであるよう祈りながら弔った。
子猫には“ ”と名前をつけ、出来得る限り可愛がりながら育てた。
最初は も酷く怯えていたが、次第に打ち解けてくれた。
人懐っこい甘えん坊で、其れでいて誠実というか、忠義心が強いというか……
私の家族も、 の事を目一杯の愛情をもって接してくれていた。
年月が経ち、小さかった もすっかり成長し、穏やかな日々を過ごしていた。
そんな或る日、私達は旅行で旅客船に乗っていた。
窓から見えるは一面の海。
も、雄大な景色を見るのは初めてで、私の腕の中でじっと水平線を見つめていた。
其れが、一瞬で。
大きな揺れと共に、平和な時間と私達は、其れは其れは大きく、そして遠くへ投げ飛ばされた――
傘をさして歩いていると、か細い鳴き声が聞こえた。
声の方角へ向かってみると、其処は開いた側溝で。
事切れた黒猫と、寄り添いながら鳴き続ける白い子猫が居た。
恐らく、野良の親子だったのだろう。
私は一度来た道を戻り、近くの店で子猫用ミルクとタオルを購入し。
結果として、二匹を連れ帰る事にした。
親猫の遺体は、家の庭に埋め、魂が安らかであるよう祈りながら弔った。
子猫には“ ”と名前をつけ、出来得る限り可愛がりながら育てた。
最初は も酷く怯えていたが、次第に打ち解けてくれた。
人懐っこい甘えん坊で、其れでいて誠実というか、忠義心が強いというか……
私の家族も、 の事を目一杯の愛情をもって接してくれていた。
年月が経ち、小さかった もすっかり成長し、穏やかな日々を過ごしていた。
そんな或る日、私達は旅行で旅客船に乗っていた。
窓から見えるは一面の海。
も、雄大な景色を見るのは初めてで、私の腕の中でじっと水平線を見つめていた。
其れが、一瞬で。
大きな揺れと共に、平和な時間と私達は、其れは其れは大きく、そして遠くへ投げ飛ばされた――