Eno.220 いつか生まれる物語

なきごと

ねぇ。俺は悪い事してないよ。

ちゃんとみんなの目を引いて
ちゃんとみんなに覚えてて貰えるようにしてて
ちゃんとみんなの為にがんばって

ねぇ、だから、だからさ。

その刃を下げてくれ俺の自我を許してくれよ、暴君。

……知ってるよ。別にお前が怒ってるだけじゃないってのは。これが自戒であり警告なのはこれ以上なく。

でもさ。痛いよ。
食べてる価値を感じれなくって飯を抜いた時の空腹も
加護のない身の限界が分からなくって動き過ぎた疲労も
ページを閉じる時に刹那詰まった息も

どれよりも、俺が英雄でないと突き付けるその刃は痛いんだよ。

命乞いなんてシュミじゃないけどさ。でもさ。刹那願っただけなんだ。迷っただけなんだ。どうせ空虚の白子のように逃げれはしないさ。どんでん返しの商人も居ないし、あいつら使うくらいならってのはお前も一緒だろう?

ねぇ、いたいよゆるしてよ。芽生えてしまったこの感情を、罪にしないでよ。