吾輩はMouTuberである。
この仕事が5年後も存在するかはわからない。安定とは程遠い職業だ。
でも、ぼんやり人生の時間を消費して終わっちゃうのは嫌だったんだ。

アラサー女一人の貧乏旅行チャンネルはそこそこ当たって
紹介したドミトリーに、遠征の時そこ泊まります！って言ってくれる人もいた。

ウチらの世代は自由だ。
女性も仕事をするようになり、恋愛や結婚というコンテンツは最早趣味になった。
推し活でも幸せは得られるし、寂しければマチアプがある。
手軽に大多数と繋がれるから、一つの出会いに執着する必要もない。
逆に言えば、本音・・が見えにくくなったとも言う。
私はそれでも別にいいと思ってた。
わざわざ本音で付き合って傷つかなくてもいいじゃん、コスパ悪いし。



そう、私が流されてからカメラ回してないのって、コスパが悪いからなんだ。
だって明らかウチらの世界には存在しない生物達がいるじゃんよ。
それ撮ったってさ、MouTubeのネタになんないんだわ。

……嫌いなんだよ、オカルトとか、スピリチュアルとか、そーゆーやつ。
よくわかんないものでメンタル煽って再生数稼ぐ、そういう商売は嫌なんだ。
島の植物のデータも、私は外に出したくない。
絶対さ、存在してたらダメなやつじゃん？
そういう、オカルトチックなデータが自分のカメラに入ってるのがたまらなく嫌なんだ。
私は自分に正直でいたいからMouTuberになったんだし
見に来てくれる人にも正直でいたいから自分の足で集めた映像しか使わないって、そう決めてる。



でもさ
みんなと居るうちに
今の時間を残しておきたい、自分のためだけに、自分が見返して思い返すためだけに撮っておきたいって
ちょっと思い始めてる。

角とか耳とか尻尾とか生えてても、みんないい奴じゃん。
同じテーブル囲んでマンボウとか長い魚とかアイスとかプリン食べたのは
大事な思い出だって今思ってる。

……楽しかった。
それは、嘘じゃない。