Eno.640 フォッカティオ



ミオスジーク。誰もが待ち侘びるあの式よ!

月が沈み空が白くなった頃、あの時計塔の鐘が5回鳴る。
それが始まりの合図だった。

髪は丁寧に梳かし、隅まで飾りつけ。
身体中にオイルと粉を叩いたら、ベッドに入るんだ。

そうして目を閉じる。

すると迎えに来るんだ!
その主、アリオストスが!

アリオストスはベッドの横で、ひとりずつ顔を覗くんだ。

選ばれるのは、たったひとりだけだった。

だから準備は入念にしなくてはいけない。
何一つ欠けてはならないのだ。