Eno.16 ミオソティス

【7 Lisianthus】

 
 僕を連れてってくれる
 優しいかみさまに、名前をつけた。
 “ネムレス”なんて仮の名前じゃなくて、
 僕なりにちゃんと考えた名前。


「──リシアンサス」



 感謝、希望、良い語らい、思いやり。
 そんな意味を持つ花の名前だ。

──そして、「永遠の愛」の意味もある。

 あなたなら、僕を愛してくれるでしょう?
 あなたなら、僕の孤独を埋めてくれるでしょう?
 あなたなら、あなたなら、あなたなら、僕と──

 ずっと一緒にいよう。
 僕の寿命尽きるまで、ずっと。
 愛を知らない僕が向けるものは重いだろうけれど、
 あなたなら、絶対に受け止めてくれるもの。

「──リシアンサスは、僕のこと、
 愛してくれるよね?」



 醜い花でも、化け物みたいな本性でも、
 罪を犯した悪人でも、咲き方忘れた徒花でも。
 あなたなら、あなたなら、あなたなら、僕を──

 愛して、愛して、愛して、愛して、愛して。
 愛してよ、ねぇ、ねぇ、ねぇ。