Eno.181 潮彩のリューカ

訓練場にて

『NUMANSニューマンズ』のメンバーとなったわたしは、アラタさんに訓練場へ案内された。
そこにはたくさんのヒュマモンが、戦闘訓練に励んでいた。
彼らだけじゃない。ヒュマモンと一緒に身体を鍛える人間たちの姿もちらほらといる。

『NUMANS』の構成員のほとんどはヒュマモンだが、ヒュマモンの正体を知る人間たちも数多くいた。
人間のメンバーの中にはヒュマモンとタッグを組み、ヒュマモンテイマーとしての顔を持つ形でスパイ活動している者たちもいる。
理由は至極当然。ヒュマモンテイマーとそのパートナーの立場は、社会の中ではとても便利だからだ。

トレーニングをする部下たちを眺めて微笑んでから、アラタさんは説明する。

「ヒュマモンの進化レベルアップと高レベル形態維持の基本的な条件は、相性の良い人間との深い共鳴ユニゾンだ。
　だがテイマーを持たない野生ヒュマモンの多くはレベル2から3が多くを占める」

「理由は主にふたつ。ひとつは弱い形態のままの野生ヒュマモンは早々に淘汰されてしまうことだ。
　もうひとつは、過酷な生存競争の中で練り上げられた、強靭な闘争心だ」

「ヒュマモンが野生化すると凶暴になるのではない。
　自分が信じるテイマーがいない時、そう振る舞わなければ生き残れないのだ」

「もちろん自らを変貌させた人間への憎しみや嫌悪を持つ者も、ごまんといる……」

「お前はいずれ理解し、再び知るだろう。自分がかつて、何者だったのかを」

「気晴らしの運動のつもりで、ここにいる私の同志と共に鍛錬するといい。彼らも喜んでくれるだろう」


それから毎日、わたしは『NUMANS』のみんなと特訓に励んだ。
たまに弱音を吐きそうになったこともあったけれど、徐々に自力で上位の形態を維持できるようになった。
同時に少しずつ、過去の自分を思い出せるようになってきた。