Eno.222 バイフウィリー

その日

最初は、すぐに助けが来ると思った。

偶然にも同じ島に、春から通う高校の教師が──そして浅からぬ交友のある──流れ着いていた。
だから、運が良いと思ったのだ。
そう遠くまで流されたわけではないと。
少しだけ耐え抜けば、すぐに助けが来ると。

楽観できたのは、盧琅の存在もある。
盧琅は人間の永遠の友。周囲の人間を守るようにできている。
盧琅が同じく流れ着いていれば助けになるし、そうでなければ、必ず慧莉を探しに来る。
だから大丈夫。だから平気だ。

そう口にした。
そう思っている。

だけど、その片隅でぽつりと思う。

これは、防げた事故ではなかったか。